農場と収穫に革新を フード・アグリテックで起業する

スタートアップ

フードテックとは、食品のバリューチェーンを再定義して、非効率なプロセスを改善し、ステークホルダー全体の価値を向上あげることを目指す新しい試みです。特にITを駆使して、今まで人だけで行われていた業務や作業を、人+ITの組み合わせで、より良い仕組みを構築することに特徴があります。

フードテックでの起業(スタートアップ)を検討する場合、まずは食品バリューチェーンについて深く分析を行う必要があります。すなわち、農作物を主体とする食品業界は、(1)農場での栽培→(2)収穫→(3)集荷→(4)流通→(5)加工→(6)流通→(7)小売りという7つの経路をたどって消費者に農作物を最終消費を提供しています。食品には畜産業も含まれていますが、農作物とは異なるバリューチェーンでもあり、畜産物にフォーカスしたスタートアップのアイディアについては後述します。

本ページの対象者
  • フード・アグリテックの分野で起業を検討している方
  • 農薬をドローンで散布してみたい方
  • 食品代替品での起業を検討したい方

農場テック

各経路で、異なる主体が生産活動に大きく関わっているのが、食品業界の特徴でしょう。例えば、(1)の農場での栽培には、農地、農家に加え、種子メーカー、肥料メーカー、農薬メーカー、農機メーカー、そして農協(JA)などが関わっています。種子メーカーは、消費者受けする種子を開発販売している会社です。モンサントやシンジェンタ等が有名ですね。農作物を作ろうと思ったら、まずは種子を入手しなくてはなりません。肥料や農薬は、土地や農作物が健全に育つためのソリューションです。日進月歩で技術革新が進んでおり、農作物に必要不可欠です。農機は土地づくりから収穫まで、農作業農の効率化の観点から農業に欠かせません。

フード・アグリテックを考える時に、異なる主体をどのようにテックを用いて代替することができるのか、即ち現状の主体への制約条件は何か?を検証することが最も大切です。農地であるならば、規制上農地の売買は厳しく制限されています。そこで、農地以外で農作物を生産する手段がないかを考えてみます。一つの解答がいわゆる植物工場ですね。工場内で太陽光でなく人工LEDを使い、農作物を育てる工場のことです。水、温度、養分の管理など、製造業の工場と同様の管理手法を用いて、植物を育てます。このやり方は、土壌豊かな場所でなくても農作物を作ることができ、農地規制から離れて生産面でイノベーションを起こすことができます。

農地分野のテックの一つのアイディアに植物工場がある

収穫テック

(2)の収穫では、どのようなアプローチができるでしょうか?収穫は通常労働集約型の上、ある特定の時期にタイミングがかさなるため(農作物の収穫タイミングの都合上致し方ないですが)、そうした時期は繁忙期となってしまいます。収穫を如何に効率よく乗り切るかという視点から、収穫サポート分野に深い洞察を提供できるスタートアップは重宝されるでしょう。例えば、収穫要員の確保を行うマッチングサイト、収穫補助を行う自動ロボといった分野でのイノベーションは今後続くでしょう。そもそも、植物工場にしてしまえば、収穫の時期含めて自動化できるというメリットもあります。植物工場は、生み出されてから少し時間が経ちますが、まだまだ改善の余地のあるビジネスモデルです。

収穫分野でも植物工場は効率的な収穫が可能となって有効

インプットの変革

肥料や農薬は、土地や農作物に補助的に与えるものなので、「インプット」と呼ばれています。農作物を育てるためには、適切なタイミングでのインプットが必要となります。よって、温度や土地の養分、害虫の有無を感知するシステムにはニーズがあるのです。肥料を与えるタイミングなどもこの感知システムからの指示に従って行う、ということは今後深化していくべき選択肢です。農家の方が経験や勘に頼っていた部分をテックで代替するのです。

種子分野でも遺伝子組み換えで、気候適応能力が高い食物を創り出していくというニーズは益々たかまっていくでしょう。今の気候変動を考えるならば、フロッグジャンプ(一気の飛躍)も求められて然るべきでしょう。また、農薬散布であるならば、ドローンを使って農地全体に散布してしまうことができれば、随分と効率的になります。出荷も、今までは農協経由という場合はほとんどですが、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)的な形で最終消費者に直接送るというアプローチも隆盛を極めるでしょう。D2Cならば、仲介する機能を減らす分、販売価格を低く抑えることができるので、消費者にとって、品質のレベルが同じであるならば、有難いサービス、逆に言えば顧客満足度を高めるサービスとも言えます。

食品の流通面もまだまだ改善の余地がありそうです。野菜や果物は、当然新鮮な方が美味しいですから、地産地消的なバリューチェーンにした方が商品の価値はあがります。しかし、通常は、大都市圏といった消費地から遠くにある農地では、いくら収穫や集荷を効率的に行ったとしても、運んでいる間に、鮮度は落ちてしまいます。流通時間を短縮化できる、立地を選ばない植物工場でしたら、鮮度の高い状態で農作物を届けることができます。

農薬や肥料のインプットのタイミングを分析する技術は発展途上

畜産業の再定義

今までは、主に農作物について記載してきましたが、畜産業はどうでしょうか?体調管理等は、テックの力を借りれば今後自動的に行えそうです。耳たぶ等にセンサーをつけたり、飼育場にビデオカメラを設置することで、今まで経験と勘に頼ってきた家畜の体調管理を自動的に行うサービスも可能となることでしょう。

また、畜産業自体が、代替食品によってなくなるかもしれません。ビヨンドミートインポッシブルフーズが提供をしている植物由来の肉や昆虫食などは、従来は家畜の肉からしか得られなかったタンパク質への代替を進めています。他に牛乳に代わる植物由来の乳も生まれています。畜産業自体は、投入する水と肥料、家畜の呼吸などによる二酸化炭素の排出といった面で、環境にも負担をかけるといわれており、この分野でのソリューションへの潜在的ニーズは高いと思われます。

結論

  • フード・アグリテックは非常に大きな市場
  • 数千年変わらなかった農業バリューチェーンの大変革がテックで起こせる。植物工場、ドローン農薬散布、肥料自動管理は今すぐできるテックだ
  • 畜産業も代替食品などで再定義可能
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