アクティビストファンドと共同投資をする

アクティビストファンドとは、上場企業の株式を数%程度取得して、当該上場企業の経営陣との対話を通じて、企業価値向上によるリターンを目指すファンドの総称です。アクティビストというと、日本では、村上ファンドのような負のイメージもあるかもしれませんが、世界的には、より高いリターンを求める投資家(年金ファンド等)から資金を集めており、資産運用の分野でも重要な位置を占めるようになってきています。

このページではCevian Partnersといったアクティビストファンドを活用した新しい資産運用ビジネスの始め方について考えていきます。

本ページの対象とする読者
  • 資産運用の分野で起業・スタートアップを検討している方
  • 財務的な余裕があり、新しい投資手法を検討している方
  • アクティビストの動向を知りたい方

対話の方法

アクティビストファンドの対話の方法には、いくつかのパターンがあります。基本は非公式で投資を行っている会社の経営陣と面談をして、1)対象企業の非効率な事業の改善点、2)企業統治(コーポレートガバナンス)の更なる強化、3)資本政策に関する新しい視点などを提案する方法です。

対象会社の経営陣としても、重要な大株主とはいえ、突然現れた株主が、経営に色々注文を出すわけなので、すぐに得心して、提案を実際の経営で反映することは、なかなか難しいというのが現状ではあります。

一方で、アクティビストファンドとしては、「自分たちが見えているより洗練せれた、よりすべてのステークホルダーとウィン・ウィンの関係が築ける」提案をなぜ受けないのか。さらに言えば、「経営陣の報酬も業績連動という形でインセンティバイズされるような提案を何故すぐに実行に移さないのか」、と、いくら提案しても真剣に取り扱ってもらえず、フラストレーションをためていくケースが非常に多くなっています。

その結果、次のフェーズとして、株主総会での決議を目指してアクティビストファンドが株主提案を提出します。実力行使ですね。よく見られる株主提案としては、アクティビストファンドが選定した取締役候補を、会社が選定した取締役候補とは別に、総会で選任するように要請するものです。

会社側の取締役候補も経験や知見等申し分ない方が多いのですが、アクティビストファンドの目から見ると、事業上の関係性や利害関係がありそうな人(例えば、同じ財閥系列の会社で既に役員をやっている)であったり、業界の動向に精通しておらず、何社も役員を兼任しているような人(例えば、石油会社、化粧品会社、食品会社とほとんど関係のない業種で役員をやっている)であったりと、独立性や専門性の観点から改善が図れる余地がある、と思われてしまいます。

もちろん、会社側の役員も、経歴などは申し分ないほど厳選されているわけなので、これもアクティビスト案を鵜呑みに、追加で候補を承認しますとはなりません。したがって、概ね多くの株主提案は、総会決議で否決されてしまいます。

さらなるアクティビスト側のアクションとして、公開提案の上で、総会に向けてプロキシ―ファイトを図るやり方があります。コーポレートガバナンスコードやスチュワートシップコード等、対象会社の既存株主である主に機関投資家に対してアプローチを行い、賛同を求めていきます。機関投資家は、この両コードへの遵守が運用方針にうたわれているからです。これらのコードは、運用会社として、より企業価値の向上が見込める案がある場合に、会社案とどちらが価値向上に資するか分析して、賛成をするように求められています。中立的な観点から、会社案がよいのか、ファンド案がよいのかを比較検討できる立場にあるのです。

アクティビストからの企業経営陣へのアプローチには一定の型がある

起業の着眼点

近年アクティビストによって数多くの公開提案がされていますが、主な内容としては、資本政策改善のために、1)不採算事業を売却、2)新規の成長戦略に向けた新規投資の中止、3)回収した資金を自己株買取に使用し、ROEの改善を図るという提案、4)増配を求める提案、そして先ほどの5)新任役員就任の要請が多くなっています。

自己株買取や増配はいかにもファンドらしい提案ではりますが、分析は海外同業他社との比較や、過去の戦略の分析など、ページ数にして100頁超の提案書には、示唆に富んだ分析も多いのが事実です。

ところが、ここまで行っても、ファンドからの提案の多くは否決されてしまいます。例えば、JR九州とアクティビストファンドであるファーツリーの攻防戦では2年続けて、ファーツリーが敗れています。一方で、ファンドの提案がそのまま承認されないにしても、一部の項目については、その後実施される場合もあります。例えば、自己株消却を規模を小さくして実施する、配当を前年より少し増やす等のやり方です。

またアクティビストファンドとの上記のような対話は、資本市場において注目を集める場合も多く、株価にも好影響を与えます。

アクティビストの対話の頻度と対象会社の株価の関係には正の相関があるようだ

セームボートインベストメント

日本では、個人投資家が、アクティビストファンドと共同投資をするような事例はまだありませんが、今後アクティビストファンド案、会社案、そして複数の個人投資家があつまって案を出し、三つ巴の対話が行われる可能性もあると思います。

今後の資産運用の一つのあり方として、アクティビストファンドが投資を行っている先に、個人投資家が投資を行い、積極的に意見を出すことで、より高いリターンを求めるという運用手法が出てくるかもしれません。

現在は、個人の意見を表明することは、ブログを開設すれば簡単に行えます。現に、アクティビストファンドが公開提案を出す場合は、自社サイト立上げて、ワードプレスのテンプレートを用いて行っている場合がおおく見受けられます。

会社案、ファンド案に対抗する案を出して、自分なりの企業価値向上を目指すのも良し、会社案とファンド案に一部賛同、一部反対して、より議論を深めるのも良し、単なる株式売買を超えた、新しい資産運用スタイルを目指す運用会社の起業が今後ブームを迎えるかもしれません。

まとめ

  • アクティビストファンドは、企業統治(コーポレートガバナンス)の上でも重要
  • 企業価値向上に向けた施策は合理的な手法が多い
  • アクティビストとのセームボートインベストメントは新しい着眼点

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